近年、通信制高校に進学する生徒が急増していることをご存じでしょうか。かつては「全日制に通えない生徒のための選択肢」として見られがちだった通信制高校ですが、今では“自分に合った学び方”として前向きに選ぶケースが増えています。
文部科学省の最新調査によると、高校生のおよそ11人に1人が通信制高校に在籍しており、その数は年々増加。特に私立校を中心に新設校が相次ぎ、教育の多様化が現実のものとなりつつあります。
この記事では、通信制高校の生徒数の推移や背景にある社会的要因、そして卒業後の進路事情について、データと専門家の見解をもとにわかりやすく解説します。これから高校進学を考える中学生や保護者、教育関係者にとっても役立つ情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
通信制高校は何人に1人?最新データから見る在籍状況
近年、急速に注目を集めているのが「通信制高校」の存在です。従来、「通信制高校」というと「特別な事情がある人が通う学校」というイメージを持たれがちでしたが、2024年度の最新データを見ると、その存在感は確実に変わってきています。今回は「通信制高校は何人に1人が通っているのか?」という点に焦点をあて、最新の統計データから現状を読み解きます。
高校生の11人に1人が通信制高校を選択
文部科学省が発表した「令和6年度 学校基本調査(速報値)」によると、2024年度に通信制高校に在籍する生徒数は290,087人。これは日本全国の高校生(全日制・定時制・通信制を合算)のうち、約11人に1人が通信制高校を選んでいる計算になります。高校生全体の人数は3,188,533人ですので、**通信制高校の構成比は9.1%**に到達しており、もはや少数派とは言い切れない存在となっています。
▶ 出典:文部科学省「学校基本調査-令和6年度 結果の概要-」
(参照URL:https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995_00001.htm)
生徒数の増加は連続記録を更新中
通信制高校に通う生徒の数は、実はこの数年で急速に増加しています。特に私立の通信制高校は顕著で、2023年から2024年にかけて**22,217人の増加(前年比110.7%)**があり、28年連続で増加中です。一方、公立の通信制高校も3年連続で生徒数が増加しており、こちらも新たなトレンドを形成しています。
さらに2025年4月には、過去最多となる29校(私立25校、公立4校)が新たに開校予定。通信制高校の学校数はついに全国で303校(私立224、公立79)に達し、「300校時代」に突入しました。
このように、「通信制高校 何人 に 1 人?」という問いに対する答えは、「約11人に1人」という非常に現実的な数字であり、もはや“特別な選択肢”ではなく、誰にとってもありうる進路の一つになっているのです。
女子生徒の割合が増加中
また、通信制高校におけるもう一つの注目ポイントは女子生徒の比率が増加していることです。2024年度のデータによると、通信制高校全体の女子比率は53.1%と男子より多く、特に公立通信制では女子比率が54%に達しています。これは全日制・定時制が男子比率の方が高い傾向にある中で、際立った特徴と言えます。
背景には、「自分のペースで学びたい」「通学の負担を減らしたい」「芸能活動などと両立したい」という女子生徒側の多様なニーズがあると考えられています。
地域ごとの傾向:全国的に拡大中
「通信制高校に通う生徒は特定の地域に多いのでは?」と思われるかもしれませんが、実際には39都道府県で3年連続の生徒増加という結果が出ています。最も生徒数が増加した地域には以下のような例があります。
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茨城県:35,223人(前年度比 +5,339人 / +17.9%)
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山梨県:6,605人(前年度比 +1,195人 / +22.1%)
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北海道:26,615人(前年度比 +2,091人 / +8.5%)
一方で、生徒数が3年連続減少している都道府県はゼロ。これは、全国的に通信制高校へのニーズが広がっている証拠でもあります。
さらに、今後は群馬県や富山県などこれまで私立通信制高校の認可校がなかった地域にも新規開校が予定されており、「どの都道府県にも通信制高校がある時代」が到来しつつあります。
高校選びの“新しい常識”に
かつては「通信制高校=不登校の子の受け皿」といった見方が一般的でしたが、いまやその役割は大きく変わっています。通信制高校は、
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自分の好きなことに集中したい人
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時間的な自由を求める人
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多様なライフスタイルを選びたい人
にとって、“第一志望の進路”として選ばれることが増えてきました。
学びの形が一つではなくなった今、「通信制高校は何人に1人?」という問いを「あなたの周囲にもきっといる進路」として捉える視点が必要です。これから高校進学を控えている中学生やその保護者にとっても、選択肢として前向きに捉えることが求められる時代に突入しています。
なぜ通信制高校が選ばれるのか?多様な進学動機とは
かつて「通信制高校」と聞くと、どこか“特別”な環境にある生徒が通う場所という印象を持たれがちでした。しかし、2020年代に入りそのイメージは大きく変化しています。通信制高校を選ぶ理由は「不登校だから」「働きながら学ぶ必要があるから」といった受動的なものだけではなく、自らの意思で“通信制”という学びのスタイルを選択する生徒が急増しているのです。
ここでは、通信制高校が注目されるようになった背景と、実際に選ばれる理由を多角的に分析していきます。
「自分らしく学びたい」という前向きな選択
通信制高校を選ぶ生徒の中には、「勉強は嫌いじゃないけれど、毎日学校に通うのが負担」「好きなことに集中できる環境がほしい」といった理由で、積極的に通信制を選ぶケースが増えています。
例えば、芸能活動、スポーツ、eスポーツ、起業準備などと並行して高校卒業資格を取得したいという生徒にとって、自由度の高い学び方ができる通信制高校は理想的な環境といえるでしょう。
特に近年は、動画制作やプログラミング、投資、アートなど専門性の高いカリキュラムを用意している学校も増えており、「通信制=消極的な選択」という価値観は過去のものになりつつあります。
コロナ禍を機に見直された“通学しない学び方”
2020年以降、世界的に感染症の流行が続いたことにより、日本でもオンライン授業や自宅学習の環境が一気に広まりました。この社会的背景が、「通信制高校」という学び方への抵抗感を薄れさせる契機となったのです。
多くの中学生や高校生が一度はリモート学習を経験し、「通学しなくても勉強はできる」「自分の時間が増えて効率的に生活できる」と実感しました。この経験が、「通信制でもいいのではなく、通信制がいい」と考える流れを生んでいます。
ある保護者からは、「コロナで学校に通わない生活を体験してから、子どもが自分のペースで学ぶことに自信を持った」という声も聞かれます。
不登校経験者のセーフティネットとしての役割
一方で、やはり根強いニーズとして存在するのが「学校に通うことに強い不安を感じている生徒」の受け皿としての役割です。文部科学省の調査(※)では、通信制高校に在籍する生徒の約半数が、小・中学校で不登校を経験しています。
この層にとって、通信制高校は「学びを継続することができる唯一の場所」となる場合もあります。対面授業が少なく、通学の頻度が調整できる通信制高校は、心理的な負担を軽減しながら学びを続けられる仕組みとして、多くの家庭に支持されています。
また最近では、不登校だけでなく、発達障害やグレーゾーンにある生徒に対応した個別指導型・少人数型の通信制高校が増えており、誰一人取り残さない教育の仕組みとして注目されています。
活発な広報活動で変わる“通信制のイメージ”
通信制高校のイメージを大きく変えた存在として象徴的なのが、N高等学校(N高)とS高等学校です。角川ドワンゴ学園が運営するこの学校は、通信制の柔軟性を最大限に活かしながら、オンライン学習・プログラミング・プロジェクト学習・イベント活動など、多彩な教育スタイルを打ち出しました。
特に、芸能人が登壇する入学式や、YouTubeを活用した文化祭など、他の通信制高校にはない独自の広報戦略で一気に注目を集め、通信制高校=時代遅れというイメージを刷新しました。
生徒数は2024年度時点で2校合計で約28,000人。全国の私立通信制高校の1割以上を占めていることからも、ニーズの高さがうかがえます。
参考:
N高等学校公式サイト
保護者・社会の意識も変化
そして最後に注目したいのが、保護者や社会全体の価値観の変化です。従来は「普通の高校に進学してほしい」「全日制が安心」といった考えが主流でしたが、今では「この子に合った進路を一緒に探したい」と考える保護者が増えてきました。
「みんなと同じでなくてもいい」「自分のペースで未来を切り開いてほしい」といった価値観が、通信制高校を前向きに捉える流れを後押ししています。
教育関係者の中には、「通信制高校の教育手法こそ、これからの時代の学びにマッチしている」と評価する声もあり、通信制高校が“特別な学校”から“新しい選択肢の一つ”へと変貌を遂げたことがわかります。
生徒数が増えている地域・学校の傾向とは
通信制高校の生徒数は、ここ数年で全国的に急増していますが、都道府県ごとに見ると、伸び率や背景にはそれぞれ異なる事情があることがわかります。また、学校ごとの取り組み方針や運営体制の違いも、地域差に影響を与えています。ここでは、「どの地域で」「どのような学校が」通信制高校の人気を集めているのか、その傾向と理由を深掘りしていきます。
全国39都道府県で生徒数が3年連続増加
文部科学省の「令和6年度 学校基本調査(速報値)」および学びリンク社の分析によると、2024年度時点で全国39都道府県で通信制高校の生徒数が3年連続で増加していることが明らかになっています。
この数字は、地方・都市部を問わず、全国的に通信制高校のニーズが高まっていることを示しています。特に増加率が高かった都道府県は以下のとおりです。
順位 | 都道府県 | 生徒数 | 増加数 | 前年度比 |
---|---|---|---|---|
1位 | 山梨県 | 6,605人 | +1,195人 | +122.1% |
2位 | 山口県 | 6,519人 | +997人 | +118.1% |
3位 | 茨城県 | 35,223人 | +5,339人 | +117.9% |
このように、関東、甲信、山陰など、さまざまなエリアで増加が見られ、通信制高校が地域に関係なく浸透してきていることがうかがえます。
学校数も過去最多に。2025年にはさらに29校が新設予定
通信制高校の学校数自体も年々増えており、2024年度にはついに全国で303校(私立224校、公立79校)に達しました。これは、2000年時点の113校に比べて約2.7倍の増加です。
さらに、2025年4月には過去最多となる29校(私立25校、公立4校)が新設予定。これにより、まだ私立通信制高校の認可校がなかった県にも開校が進み、全国の都道府県すべてに通信制高校の認可校が存在することになります。
例:
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群馬県桐生市に「R高校」が開校予定
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富山県高岡市に「高岡龍谷高校」が新設予定
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徳島県三好市に「みのり高校」が2024年10月開校(初の認可私立通信制高校)
このような動きは、地域に根差した教育機会の拡充と、地方の若者に向けた学びの選択肢提供の側面を強く持っています。
特に伸びているのは私立通信制高校
生徒数の増加を牽引しているのは、圧倒的に私立通信制高校です。2024年度時点で私立校の生徒数は229,754人、前年比で22,217人の増加となっています。これは28年連続で増加中です。
背景には以下のような要因があります。
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**構造改革特区制度(2003年〜)**により株式会社の学校運営が可能に
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教育内容の自由度が高く、特色あるカリキュラムを打ち出しやすい
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全国から生徒を募集できる「広域通信制高校」として運営可能
たとえば、角川ドワンゴ学園のN高・S高は、単独で私立通信制高校の生徒の**1割以上(約28,000人)**を抱えており、先進的なICT教育やキャリア教育で大きな支持を集めています。
公立校にも変化。「フレキシブルハイスクール」型が登場
一方、2025年には愛知県で4つの新しい公立通信制高校が開校予定です。これらの学校はいずれも「全日制・定時制・通信制」を併設し、**課程間の移動や授業の併修が可能な“フレキシブルハイスクール”**として設計されています。
愛知県の例:
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愛知県立佐屋高校(愛西市)
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愛知県立御津あおば高校(豊川市)
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愛知県立豊野高校(豊田市)
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愛知県立武豊高校(武豊町)
このような柔軟な仕組みは、「中退を防ぐ」「復学しやすくする」ための行政的な工夫であり、今後他県でも導入が進むと予想されます。
都市部と地方のニーズの違いとは?
都市部では、学び方の多様化や進学重視の通信制高校への需要が強く、自由登校型・通学コース併設型が人気。一方、地方では「通える全日制高校がない」「通学手段が確保できない」といった地理的・交通面の課題から、地域密着型の通信制高校の存在が不可欠とされています。
地方で開校が相次いでいるのは、従来の高校教育制度ではカバーしきれないニーズが顕在化してきた結果とも言えるでしょう。
男女比・世代も変化。女子生徒と10代が主役に
最後に補足すべきは、通信制高校における生徒属性の変化です。
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女子生徒の構成比:53.1%(男子より多い)
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10代の在籍率が年々上昇中
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働きながら学ぶ大人世代は徐々に減少傾向
この傾向から、今や通信制高校は「社会人が通う場」ではなく、10代の現役高校生が“第一志望”として選ぶ場へとシフトしていることが明確にわかります。
メリットだけじゃない?通信制高校の課題と注意点
通信制高校は、多様な学び方や柔軟な時間割、個別対応の手厚さなどから、多くの生徒にとって“自分らしく学べる場所”として注目されています。しかしその一方で、通信制高校には全日制高校とは異なる特有の課題や注意点も存在しています。ここでは、**通信制高校の利用を検討している方や保護者が知っておくべき「現実的なリスクと向き合い方」**をわかりやすく解説します。
1. 進路未決定率の高さは深刻な課題
通信制高校の最も顕著な課題のひとつが、卒業後の進路未決定率が高いという点です。文部科学省の「令和4年度学校基本調査」によると、卒業後に進学も就職もしていない「その他(未決定者)」の割合は次のようになっています。
高校課程 | その他(未決定)割合 |
---|---|
全日制 | 4.3% |
定時制 | 16.5% |
通信制 | 31.5% |
通信制高校では、全日制と比べて進路未決定者の割合が約7倍にもなっています。
これは、「進路指導の手薄さ」「生徒の自己管理能力の差」「家庭の支援体制」など、複合的な要因が絡み合っている結果です。
2. 自己管理ができないと“孤立”のリスクも
通信制高校は基本的に「自学自習」が中心となるため、自分で計画を立てて学習を進める力が求められます。
しかしすべての生徒がそのような力を持っているとは限らず、とくに中学生の段階で不登校経験があったり、学習意欲が下がっていたりする生徒にとっては、“学びの継続”そのものが大きなハードルとなる場合があります。
スクーリング(通学指導)の回数が少ないタイプの学校を選んだ場合、誰とも関わらずに卒業を迎えることも珍しくなく、人間関係の構築や社会性の育成が不十分になりがちです。
これが進学・就職のタイミングで自信を持てない要因にもなっていると指摘されています。
3. 学費の構造に注意!“トータル費用”を把握しよう
通信制高校のもう一つの注意点は、学費体系が複雑でわかりにくいことです。特に私立通信制高校では、カリキュラムが多彩な分、追加費用がかかるケースも多くあります。
以下は1年間あたりの学費目安です(※課外授業や教材費は含まず)。
学校種別 | 入学金 | 授業料 | その他 | 合計(概算) |
---|---|---|---|---|
公立通信制 | 410円 | 7,500円 | なし | 約8,000円 |
私立通信制 | 約42,000円 | 約249,000円 | 約152,000円 | 約443,000円 |
サポート校(併用) | 約88,000円 | 約502,000円 | 約144,000円 | 約734,000円 |
※出典:学びリンク『通信制高校があるじゃん!2024-2025年版』
特にサポート校を利用する場合、学費は年間70万円を超えることも珍しくありません。
さらに課外活動、eスポーツコース、IT特化コース、合宿型イベントなどを選ぶと、別途費用が発生する場合があり、家計への影響を見落とさないことが重要です。
4. 教育の質にバラつきがある現実
通信制高校の急速な拡大にともない、教育の質に大きな差がある学校も存在します。とくに私立通信制高校の中には、以下のような問題が指摘されることがあります。
-
教材やカリキュラムが古く、実践的でない
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教員の数が足りず、質問対応や個別サポートが困難
-
単位取得が形式的で、学力が身についていない
-
過度な課外オプションの勧誘がある
また、インターネット検索で上位に出てくる学校の中には、広告費をかけているだけで、現場の教育支援が充実していないケースもあります。
学校を選ぶ際には、「パンフレットの印象」だけで決めず、体験入学や説明会、在校生・卒業生の声などを必ず確認することが望まれます。
5. 就職活動や社会進出の“支援不足”も課題
全日制高校では、担任による進路指導や就職支援、求人票の紹介などが一般的に整っています。一方で通信制高校(特に公立)では、生徒の多様性が高い一方で、進路支援にリソースを割きにくい現実があります。
たとえば、進路指導室があっても「資料が置いてあるだけ」で、面談や履歴書の添削、模擬面接といった実務支援が十分でないケースもあります。
このため、就職活動で不利になる場合があり、また卒業後の孤立感から「何をすればよいかわからない」と感じる生徒も少なくありません。
解決策は“学校選びと情報収集”にある
では、このような課題にどう向き合えばよいのでしょうか。
もっとも重要なのは、通信制高校ごとに異なる特色を理解したうえで選ぶことです。
✅ チェックポイント例:
-
卒業生の進学・就職率や実績は?
-
スクーリングは何日?通いやすい?
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サポート校の費用はどこまで含まれている?
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個別相談や進路面談はどのくらいあるか?
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課外活動やイベントは本人の意志で参加できるか?
また、近年では通信制高校の合同相談会やオンライン説明会も全国的に開催されており、複数校を比較しながら自分に合った学校を探せる機会も増えています。
変わる社会の価値観。通信制高校は“普通”の選択肢に
かつて通信制高校は、「全日制に通えない人が仕方なく行く学校」といったネガティブなレッテルを貼られることも少なくありませんでした。しかし、時代とともに教育に対する価値観は大きく変化しています。今や通信制高校は、「普通」ではなく「最適な選択肢」として、多くの生徒や保護者に支持される存在になりつつあります。
この章では、社会全体で起こっている“教育観の変化”に焦点を当て、通信制高校が果たす新しい役割について考察します。
「みんなと同じ」より「自分に合った」が尊重される時代に
これまで日本の教育制度では、「進学校の全日制高校に入ること」が“成功”とされてきました。偏差値重視・一斉授業・進路の画一化といった価値観が、長らく当たり前とされてきたのです。
しかし現代では、「同じように学ぶこと」よりも「一人ひとりに合った学び方を選ぶこと」が尊重されるようになってきています。
たとえば、
-
体調の波が激しい子どもが、無理せず学び続けられる環境
-
人と話すのが苦手な子が、自分のペースで学べる空間
-
得意な分野に集中したい子が、自由に時間を使える制度
といった個別性を大切にした学びが、「通信制高校」ではすでに実現されているのです。
「頑張らないことを肯定する教育」が生む自己肯定感
通信制高校の中には、生徒の“頑張りすぎ”にブレーキをかける教育スタイルを取り入れている学校も増えてきました。
たとえば、ある学校では「今日はレポートが進まなかったけれど、登校できただけでも立派」と声をかける先生がいます。別の学校では、「今日何もしなかったことも、自分に必要だった時間だよ」と伝える先生がいます。
こうした教育の背景には、「がんばる」ことが美徳とされすぎた社会の反省があります。とくに不登校経験のある生徒の多くは、「できない自分を責めてしまう」傾向が強く、無理を重ねた結果として心身に大きな負担を抱えてしまっていたのです。
通信制高校では、そういった生徒に対して**「頑張らないことも選択肢として肯定する」**ことで、自己肯定感を回復させる教育が行われています。
これはまさに、これからの時代に必要とされる教育観と言えるでしょう。
保護者の意識も変化。「正解」はひとつじゃない
保護者の意識もこの数年で大きく変わってきています。
ひと昔前であれば、「偏差値の高い高校に行く」「周りと同じように進学する」という価値観が主流でしたが、現在では、
-
「この子が無理せず通える学校はどこだろう」
-
「興味を持って学べる環境はあるか」
-
「心の安定を第一に考えよう」
という考え方が増えています。
たとえば、ある保護者は「以前は“通信制高校なんて”と内心思っていたが、実際に子どもが元気になっていく姿を見て、選んで良かったと思った」と話します。
通信制高校を選ぶことが「逃げ」や「妥協」ではなく、「子どもに合った環境を見つけた結果」として評価されるようになったことは、保護者の教育観が成熟してきた証拠でもあります。
「通信制=特別」の時代は終わった
教育関係者の間でも、通信制高校に対する認識は明らかに変わりつつあります。
たとえば、文部科学省の中央教育審議会でも、通信制高校の果たす役割について「多様なニーズに対応する学びの場」として重視する声が高まっています。
さらに、「フリースクールやサポート校、NPOとの連携を強め、生徒が学びに復帰しやすい仕組みをつくるべきだ」といった提言もなされており、制度面でも柔軟な運用が求められるようになっています。
教育そのものが「画一的なカリキュラムから脱却し、個別最適化へと進化」している今、通信制高校は社会全体の変化を映し出す象徴的な存在といえるのです。
社会も「フラットなまなざし」を求められている
通信制高校の生徒が「普通に」受け入れられる社会になるには、周囲の人のまなざしも大きく影響します。
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「通信制なの?大丈夫?」ではなく、「あ、そういう選択肢もあるよね」と受け止めること
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「〇〇高校って有名なの?」ではなく、「今どんな勉強してるの?」と興味をもつこと
こうしたちょっとした意識の変化が、通信制高校に通う子どもたちが、堂々と自分の進路を語れる社会をつくります。
学び方の違いは、“優劣”ではなく“多様性”。通信制高校という選択肢が、すべての子どもにとって「ありえる選択」になってきたことを、社会全体で受け止める時代がきています。
まとめ:選択肢が多い時代は、「合う」を選ぶことが正解
私たちは今、「教育の多様性」が大きく広がった時代に生きています。全日制、定時制、通信制、ホームスクーリング、フリースクール――どれもが「その人にとっての正解」となり得ます。
通信制高校は、その中でも特に、「その子にとっての最善」を見つけやすい学びの場として機能してきました。
だからこそ、偏見や固定観念ではなく、本人の声に耳を傾け、最適な進路を一緒に考える姿勢がこれからの社会には求められます。
通信制高校は、もはや「特別」ではありません。**誰にとっても“ふつうの選択肢”**として、これからの教育を支えていく存在になるのです。
通信制高校だからこそ可能な夢や目標をもって学習できる環境を探してみてください。
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