不登校とは?学校が最初に取り組むべき“基本対応”
文部科学省の定義によると、「不登校」とは病気や経済的理由を除き、何らかの心理的・情緒的要因、あるいは家庭や学校環境の影響により、年間30日以上学校を欠席している児童生徒を指します。近年、その数は増加傾向にあり、令和4年度には小中学生あわせて約29万人を超え、過去最多を記録しました。これは日本の教育現場において、もはや一部の特例ではなく、身近な課題として捉える必要がある深刻な状況です。
では、子どもが不登校の傾向を見せたとき、学校はどのような対応を取るべきなのでしょうか。ここでは、文部科学省が提言する「不登校児童生徒への対応に関する5つの視点」や、学校現場での初期対応の基本的な流れを中心に解説します。
1. まずは「出席日数」にとらわれない柔軟な視点を持つ
「とにかく学校に来させる」ことが目的になってしまうと、子どもにとってはプレッシャーとなり、かえって心理的負担を増やす可能性があります。文科省の基本姿勢は、「学校復帰をゴールとせず、社会的自立を目指す支援」です。そのため、出席扱いや在籍確認の形式にとらわれず、児童本人の気持ちや状況を最優先する姿勢が求められます。
2. 保護者との信頼関係構築がカギ
子どもが欠席を続けている場合、まずは担任や学年主任が家庭と連携し、状況を把握することが重要です。保護者が不安や孤独感を抱えていることも多く、「学校に相談してもいいんだ」と感じてもらえる信頼関係の構築が第一歩です。文部科学省の資料では、「家庭訪問」や「定期的な連絡(電話や手紙)」による情報共有が効果的とされています。
また、保護者からの相談内容や家庭環境についても丁寧に聞き取り、責めるのではなく寄り添う姿勢が求められます。学校側が一方的に「登校させてください」と伝えるのではなく、“今できること”から一緒に考えるスタンスが信頼を築きます。
3. 校内での「別室登校」や「短時間登校」の活用
不登校の初期段階において、教室復帰を目指す前段階として、保健室登校や別室登校といった柔軟な対応を整えることが効果的です。最近では、時間割を一部だけこなす「短時間登校」や「選択登校」といった仕組みも実践されています。
また、ICTの活用が進みつつあり、オンラインを通じた教材学習や面談も可能になっています。子どもが「学校とつながっている」という感覚を持ちやすくするため、校内の居場所の選択肢を増やすことが重要です。
4. 教育支援センター・適応指導教室との連携
各自治体の教育委員会には、いわゆる「教育支援センター」(適応指導教室)が設置されており、学校外での学習や生活リズムの再構築を支援する役割を果たしています。学校側は、状況に応じてこのような外部支援機関との連携を図り、児童生徒一人ひとりに合った学習環境を提案することが求められます。
支援センターでの学習は出席扱いとされる場合も多く、学校と情報を共有しながら「社会的自立に向けた教育支援」を目的とした長期的な取り組みを進めることができます。
5. 学校内支援体制の構築と教職員の意識改革
不登校は個人の問題ではなく、学校全体で支えるべき教育課題です。そのためには、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを活用し、校内に多職種チームを整備する体制構築が不可欠です。定期的なケース会議や事例検討会を通じて、教職員間の認識共有も図っていく必要があります。
また、教員自身が「不登校は本人の努力不足」といった誤った思い込みを捨て、子どもの背景にある要因(いじめ・学習不安・家庭問題など)に目を向けることも重要です。教職員向けの研修やマニュアル整備も推進されつつあります。
まとめ
不登校対応の“最初の一歩”は、登校の強制ではありません。児童・生徒一人ひとりの状況を尊重し、保護者との連携を密にしながら、その子にとって安心できる環境を共に整えていくことが、学校に求められる基本対応です。
行政・学校・家庭がそれぞれの役割を認識しながら、柔軟で多様な支援を提供していく体制が、今こそ求められています。
国の支援制度:“COCOLOプラン”で『誰一人取り残さない』対応を強化
不登校児童生徒の数が過去最多を更新するなか、文部科学省とこども家庭庁は、2023年(令和5年)3月に「不登校支援施策パッケージ(通称:COCOLOプラン)」を打ち出しました。これは、すべての子どもが安心して学び、自分らしく成長できる環境を整えることを目的とし、学校復帰を無理に目指すのではなく、「個に応じた多様な学び」の提供を掲げた画期的な取り組みです。
COCOLOプランとは?
「COCOLO」とは、以下の英語の頭文字をとった造語であり、支援の方向性を示しています。
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Care(ケア)
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Outreach(アウトリーチ)
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Connection(つながり)
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Options(選択肢)
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Learning(学び)
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Opportunity(機会)
この6つの柱を軸に、「子どもが孤立しない社会づくり」「家庭や地域とのつながり強化」「多様な学習機会の保障」を重点的に推進しています。
背景:なぜ今COCOLOプランが必要なのか?
令和4年度の統計によると、不登校の小中学生は約29万9千人に達し、10年前の約2倍。さらに中学生では、15人に1人の割合で不登校状態にあると言われています。コロナ禍を契機に家庭の孤立化や学習の遅れが加速し、学校や行政による従来の対応だけでは十分に機能しない実態が浮き彫りになりました。
このような状況下で、国は「学校に行けない子どもが“学べない子ども”にならない」ために、抜本的な制度見直しと支援の強化に踏み切ったのです。
具体策①|「教育支援センター」の全国整備
各自治体に設置が進められている**教育支援センター(適応指導教室)**は、不登校児童生徒の「居場所」と「学びの場」の両方を兼ね備える地域機関です。COCOLOプランでは、このセンターの全国整備・強化が柱の一つとされています。
支援内容としては、以下のような取り組みが含まれます:
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少人数指導や個別対応で学び直しの支援
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ソーシャルスキルトレーニング(SST)などの社会性向上プログラム
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地域ボランティアとの交流活動
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教室復帰ではなく、社会的自立を視野に入れた「出口の多様化」
これにより、「学校でも家庭でもない第三の居場所」を提供し、心理的安全性を確保した中で子どもが自らのペースで学習・生活できる環境づくりが進んでいます。
具体策②|「SSR(校内教育支援センター)」のモデル構築
文部科学省は、校内にも“支援の拠点”を設ける取り組みとして、**SSR(School Support Room)**の導入モデルを推進しています。SSRは、保健室登校や別室登校の延長として、より本格的に「安心できる学びの場」を学校内に構築する施策です。
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相談室+学習スペースのハイブリッド
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担任とは別の支援担当教員・スクールカウンセラーが常駐
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ICT機器による個別学習環境の整備
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他クラスとの交流を段階的に取り入れる
子どもが「完全な登校」を前提とせず、段階的なステップを経て社会との接点を取り戻す設計がされています。
具体策③|オンライン・メタバースでの「学びの保障」
COCOLOプランの特筆すべき点は、「学校以外での学び」に国が本格的に予算・制度を投入し始めた点にあります。現在、以下のような先進的な取り組みが各地で実験的に展開されています。
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オンライン授業の出席扱い制度
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メタバース空間を活用した登校支援(アバターを通じた出席・対話)
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地域ボランティアやNPOと連携したリモート学習支援
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家庭学習用端末・Wi-Fi無償提供制度の整備
このような取り組みによって、場所にとらわれない「どこでも学べる・つながれる」教育の実現が目指されています。
具体策④|アウトリーチ型支援の強化
これまでの学校中心の支援に加え、**行政やNPOによる「訪問型支援(アウトリーチ)」**が拡充されている点も重要です。具体的には以下のような形です。
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家庭訪問による生活・学習支援
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「訪問型カウンセリング」「訪問型学習支援」などの個別対応
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保健師・心理士・ソーシャルワーカーが連携した家庭支援チーム
「学校に来るのを待つ」のではなく、「子どものいる場所に支援が届く」体制への転換が進められています。
まとめ:COCOLOプランが示す未来とは
「不登校=登校させるべき問題」という認識から脱却し、子ども一人ひとりに合った“学びの多様性”を国が支援する時代が到来しています。COCOLOプランはその象徴であり、これまでの教育制度の限界を乗り越える大きな一歩と言えるでしょう。
子どもたちの居場所は、学校だけではありません。「誰一人取り残さない教育」を実現するために、地域・学校・保護者・行政が一体となって支援を届ける――それが今、求められている姿勢です。
学校が自校でできる5つの対応|現場で始める実践的アプローチ
不登校の問題は、単に「登校の有無」を問うのではなく、児童生徒一人ひとりの状態に寄り添い、社会的・心理的な自立を支えるための取り組みが求められます。国の支援制度「COCOLOプラン」のように、制度面の整備も進んでいますが、日々の教育現場での対応こそが、不登校対策の最前線と言えるでしょう。
ここでは、どの学校でもすぐに取り組むことができる、5つの実践的な対応策について具体的に解説します。
① 家庭との継続的な連絡・連携
不登校の兆しが見え始めた段階で最初に行うべきは、家庭との信頼関係の構築です。これは「欠席理由の確認」にとどまらず、「安心して相談できる関係づくり」に主眼を置く必要があります。
実施のポイント:
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定期的な電話連絡(週1〜2回など)を通じて様子を聞く
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家庭訪問の実施(無理のない頻度で)
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教師だけでなく、**スクールカウンセラーやSSW(スクールソーシャルワーカー)**との同行訪問も効果的
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「復帰のプレッシャー」にならないよう配慮し、子どもに合わせた支援方針の共有
家庭との“情報の橋渡し”を丁寧に行うことで、保護者が孤立せず、学校との関係を前向きに保てるようになります。
② 校内に「安心できる居場所」をつくる
教室に入ることが難しい子どもにとって、学校内に「自分のペースで過ごせる空間」があるかどうかは、登校継続の鍵となります。
実施のポイント:
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別室登校の導入(保健室、図書室などを活用)
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**校内サポートルーム(SSR)**の整備:支援担当教員やカウンセラーを配置
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「来るだけOK」「本を読むだけでもOK」など、活動のハードルを下げる運用
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時間割を柔軟に組み替えた「短時間登校」からのスタートも効果的
物理的な「居場所」だけでなく、精神的な安全を感じられる空間としての機能も重視されるべきです。
③ ICTを活用した個別学習支援
学校に来られない場合でも、学びが止まらないようにするために、オンラインやICT機器を活用した支援がますます重要になっています。
実施のポイント:
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タブレット端末を貸与し、自宅から学習可能な環境整備
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クラウド教材や授業動画の配信で、教科の理解を支援
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定期的なZoomやTeamsによる個別面談・声かけ
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オンライン学習の進捗を記録し、出席扱いの判断基準として活用
学校と児童生徒が「つながっている」と感じられることが、学習意欲の維持にもつながります。
④ 教職員内での情報共有・連携体制の強化
不登校の対応を「担任まかせ」にせず、学校全体で対応するためのチーム体制の構築が重要です。
実施のポイント:
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週1回程度の校内ケース会議(教員、管理職、SSW、SCなど)で情報共有
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子どもの様子や保護者の意向を全体で把握し、連携した支援計画を立てる
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必要に応じて教育委員会の支援チームと連携し、教育支援センターや医療機関との接続も視野に
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管理職の理解と支援が、全体の動きをスムーズにする要となる
このような横断的な体制が整っている学校ほど、不登校支援が持続的・効果的に機能します。
⑤ 外部支援機関とのネットワーク活用
校内だけで対応が難しいケースでは、地域の支援機関との協働が極めて有効です。
主な外部機関:
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教育支援センター(適応指導教室):学習・生活支援を受けられる居場所
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スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー:心理面・家庭支援の専門家
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フリースクール:柔軟な学びを提供する民間施設(出席扱いとなるケースもあり)
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地域包括支援センターやNPO団体:継続的なアウトリーチ支援を実施
学校はハブとなって、必要に応じて子どもに適した支援先をコーディネートする役割を担います。
まとめ
不登校対応において、学校が“今ここ”でできることは数多くあります。大切なのは、制度やマニュアルだけに頼るのではなく、目の前の子どもに合わせて柔軟に対応していく姿勢です。
「まずは家庭とつながる」「教室外に居場所をつくる」「ICTを使って関わり続ける」など、小さな実践の積み重ねが、子どもと再びつながるきっかけになります。
学校は「戻す場」ではなく、「つながりを絶やさない場」としての機能を再定義する時代に入っています。次回は、こうした取り組みを支える地域・自治体・厚生労働省などの支援体制について解説していきます。
学校外支援機関と厚労省の相談窓口|子どもを“孤立”させない仕組みとは
不登校支援の現場では、学校内の対応だけでは限界があるケースも少なくありません。とくに、家庭環境や子どもの心理状態が複雑な場合、学校だけで抱えること自体がリスクになることもあります。そこで重要になるのが、「学校外の支援機関」と「公的な相談窓口」の活用です。
文部科学省や厚生労働省では、こうした不登校やヤングケアラーなどの課題を抱える子どもたちを、社会全体で支えるための支援ネットワークを強化しており、保護者や教員が知っておくべき窓口や制度も整備されつつあります。
1. 教育支援センター(適応指導教室)
不登校の子どもにとって最も身近な「学校外の居場所」として位置づけられるのが、**教育支援センター(適応指導教室)**です。市区町村単位で設置されており、以下のようなサポートを提供しています。
主な支援内容:
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少人数制での個別学習支援
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生活リズムの安定に向けた指導
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ソーシャルスキルトレーニング(SST)
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スクールカウンセラーとの面談
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学校復帰ではなく社会的自立を視野に入れた支援
センターへの通所は、出席扱いと認められる場合も多く、文部科学省は学校とセンターの連携を強く推進しています。保護者は学校を通じて申し込みが可能で、通所後も学校と並行して学習が続けられます。
2. フリースクール・NPO法人
近年、不登校支援の一翼を担っているのがフリースクールや、不登校支援に特化したNPO法人です。公的機関とは異なり、柔軟で個別性の高い対応が特徴です。
特徴的な点:
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子どもの意思を尊重した自由な学習スタイル
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年齢・学年を超えた交流の場
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ゲームやアート、自然体験などを通じた社会性の育成
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一部はオンライン対応や家庭訪問型も
認可外施設であっても、学校や教育委員会と連携し、条件付きで出席扱いとなる場合もあります。代表的な全国組織には以下のようなものがあります。
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NPO法人 全国不登校新聞社
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NPO法人 登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク
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一般社団法人 フリースクール全国ネットワーク
利用には費用がかかることもありますが、自治体によっては助成金制度を用意しているケースもあります。
3. 厚生労働省|子ども家庭支援センター(旧:児童相談所)
不登校が家庭内の虐待やネグレクト、精神的な困難に起因する場合、厚生労働省管轄の「子ども家庭支援センター(児童相談所)」が重要な相談先になります。
主な役割:
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家庭環境の調査・支援
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児童虐待通報への対応(通報義務あり)
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心理職(臨床心理士・公認心理師)によるカウンセリング
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医療機関や福祉機関との連携調整
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一時保護や里親制度の活用支援
学校が違和感を抱いたとき、通報義務に該当する場合もあります。早期の情報共有と連携により、児童の命や生活を守ることにつながります。
4. ヤングケアラー支援・生活困窮家庭への相談窓口
不登校の背景には、家庭内での**ヤングケアラー問題(家族の介護や世話を担っている子ども)**や、経済的困窮が潜んでいる場合があります。
こうした課題には以下のような窓口が用意されています。
支援先:
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【厚労省】ヤングケアラー相談ダイヤル(こども家庭庁設置)
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【自治体】生活困窮者自立支援制度
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【教育委員会】就学援助・学用品費の支援制度
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【法テラス】ひとり親家庭・経済困窮者向け法律相談
子どもの「不登校」という表面化した問題の裏側に、大人が気づきにくいSOSが隠れていることも多いため、学校関係者はこうした社会資源を把握し、**必要に応じてつなぐ力(コーディネーション能力)**を高めていくことが重要です。
5. 全国共通の公的相談窓口まとめ(電話・オンライン)
子ども家庭庁「子ども・若者専用LINE相談」
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LINE相談アカウント「こども家庭庁 子どもサポート」
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いじめや家庭問題などの匿名相談が可能
24時間子どもSOSダイヤル(文科省)
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📞0120-0-78310(なやみいおう)
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子どもが直接かけられるフリーダイヤル。地域の専門機関につながる
まとめ
不登校は「学校が対応すべき課題」と捉えがちですが、実際には家庭・地域・行政・福祉・医療など、多層的な支援のネットワークが必要です。学校内で解決が難しいと感じた時点で、早期に外部の支援機関や相談窓口につなぐことが、子どもと家庭の孤立を防ぐ鍵になります。
教職員や保護者が一人で抱え込まず、“誰かとつながる選択肢”を持っていることが、支援の第一歩です。次回は、実際に不登校を経験した家庭・子どもが、どう社会と再接続していったかについて、事例を交えて紹介します。
不登校からの社会的“再接続”とは?進学・就労・自立支援のリアル
不登校は「学びの中断」ではなく、「新しい学びの出発点」になることがあります。学校に通えなくなったとしても、それが一生の分岐点になるわけではありません。大切なのは、“再び社会とつながるチャンス”を確保し続けることです。
文部科学省の調査では、不登校経験者のうち約70%以上が、何らかの形で社会と再接続し、進学・就労・資格取得へとつながっています。この章では、不登校からの“その後”に焦点を当て、現実的な選択肢と制度による後押しを紹介します。
1. 通信制・定時制高校への進学
義務教育終了後、最も多く選ばれる再出発の場が通信制高校や定時制高校です。通学の負担が少なく、自分のペースで学べるという点で、不登校経験者にとって心理的ハードルが低い選択肢です。
通信制高校の特徴:
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年間数回のスクーリングのみで卒業可能(在宅学習中心)
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教員やカウンセラーが個別対応
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進学サポートや就労支援を行う学校も多い
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フリースクールやNPOと連携した“サポート校”も存在
公立・私立を含めると全国で200校以上存在しており、文部科学省も「多様な学びの場」として正式に認定しています。入学には学力試験が不要な場合がほとんどで、中学卒業後の新たな学び直しの第一歩として選ばれています。
2. 高卒認定試験と専門学校・大学進学
高校に在籍せずに社会に出る・進学する選択肢として、「高等学校卒業程度認定試験(旧・大検)」の取得があります。これは、高校を卒業していなくても、大学や専門学校の入学資格を得ることができる制度です。
ポイント:
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試験は年2回(例:2025年度は8月・11月実施予定)
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合格科目は次回以降に持ち越し可能(3年以内有効)
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合格後、大学・短大・専門学校に進学可能
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通信講座や塾など、支援機関も充実
この制度を活用し、20代・30代で再進学する人も多く、「一度の不登校でキャリアが閉ざされない」制度的裏付けとして重要です。
3. 就労支援・職業訓練とハローワークユースコーナー
高校・大学に進学しない選択をした場合でも、就労や職業訓練を通じて社会とつながる道があります。特に厚生労働省が展開するハローワークのユースコーナーやジョブカフェは、不登校経験者や若年無業者(NEET)向けの支援窓口となっています。
受けられる支援:
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職業適性診断・キャリアカウンセリング
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パソコンスキルや接客マナー等の無料講座
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職場体験(ジョブトレーニング)
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就職後の定着支援
また、都道府県ごとに実施されている「地域若者サポートステーション」では、不登校経験や対人不安などを抱える若者に特化した支援を提供しており、保護者相談にも対応しています。
4. 自立援助ホームや生活訓練施設の活用
家庭に居場所がなく、進学・就職が難しい場合でも、自立支援のための福祉的制度が存在します。厚生労働省が所管する「自立援助ホーム」は、15歳以上の若者が一定期間生活しながら就学・就労を目指せる施設です。
自立援助ホームの特徴:
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生活費支援あり(基本無料または低額)
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寮母や支援員が常駐し、生活習慣の自立をサポート
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通学・バイト・資格取得などの支援を受けられる
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原則1~2年で卒業し、一般就職・賃貸生活へ移行
こうした施設の情報は、児童相談所や子ども家庭支援センターを通じて紹介してもらうことができます。
5. 不登校経験を強みに変えた“ピアサポーター”事例
最近では、不登校を経験した若者が、“当事者だからこそできる支援”を仕事にしている例も増えています。全国のNPOや教育支援センターでは、こうした元当事者を**「ピアサポーター」や「伴走支援員」**として採用する動きが広がっています。
活躍の場:
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フリースクールでの子どもの見守り
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SNS相談・電話相談対応
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不登校の中高生への学習支援・話し相手
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保護者向けの「経験談セミナー」登壇
自らの過去を語り、他者の再出発を支援する役割を担うことは、不登校経験を“負の体験”から“社会貢献”へと転化させる希望となっています。
まとめ:つながる手段は“学校”だけではない
不登校になったからといって、未来の選択肢が狭まるわけではありません。通信制高校、高卒認定、就労支援、福祉施設、ピアサポーターなど、社会には多様な“再接続の場”が用意されています。
子どもが「今、動けない」時期にあるとしても、それは準備期間であって、遅れているわけではありません。保護者や学校、支援者が「焦らず、見守りながら選択肢を提示する」ことが、次のステップにつながるのです。
通信制高校だからこそ可能な夢や目標をもって学習できる環境を探してみてください。
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